ビートルズのコード進行に隠された秘密
もくじ
ビートルズのコード進行に隠された秘密
そのユニークさが生まれたのは、もちろん彼らが天才だったからに他なりませんが、さまざまなアーティストから影響を受けたことも大きな理由です。
意外なことに、クラシック音楽からも強い影響を受けていたのです。
なお、コードは、キーを変えたり、代替コードを使えるため資料により諸説あることにご留意下さい。
バッハのプレリュード?「And I Love Her」
例えば「And I Love Her」という美しいバラードを取り上げてみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=eR507wuODSY
この楽曲のコードは「F#m→C#m」で3小節進行し、その後「A→B→E」と進行します。
参考:And I Love Her(THE BEATLES)のコード譜
これはバッハのプレリュードと良く似ています。
コードが違っていますから、聴いた限りでは全く類似性は見当たりません。
でも、最初の3小節でアップダウンを繰り返し、4小節目でストンと落として5小節目でまた少しアップするところが似ているんです。
また、この楽曲には、歌詞を強調する時にユニークなコードを使用するという彼の典型的な特徴が良く表れています。
マイナーキーでスタートしながら、強調したいところはメジャーキーを使用して、メジャーキーで終わらせるところもユニークなコード進行です。
これを作曲したのはポール・マッカートニーですが、彼は意外なことにバッハをこよなく尊敬し幼いころから慣れ親しみ、自分自身でも良く演奏していたのです。
ですから彼の潜在意識の中には、バッハが深く刻み込まれていたのでしょう。
かなりリスキーなコード進行「Yesterday」
同じくビートルズ屈指の名曲「Yesterday」を取り上げてみましょう。
この楽曲は、冒頭の「Yesterday」という歌詞を低音の「F」からスタートします。
参考:Yesterday(THE BEATLES)のコード譜
ところが、次の「all my troubles……」へ移る瞬間、いきなり高音の「Em」にジャンプします。
最後に「F」へ戻ってこないといけませんから、かなりリスキーなコード進行です。
サビの「Why she had to go……」のところも高音の「Em」からスタートして「say」のところは低音の「F」で終わっています。
よほどうまくコードを下降させてソフトランディングしないとグダグダになってしまいますが、彼は、この難題をまるでベテランのパイロットが、乗客をリラックスさせたまま、ジェット機を滑走路に着陸させるような感じで難なくクリアしてしまっています。
Fにたどり着くと、滑走路にタイヤが接地したかのような安心感を誰しもが覚えます。
大胆かつユニークそしてエレガント「Help!」
次に、ジョン・レノンの作品も取り上げてみましょう。
1965年にリリースされ大ヒットした「Help!」です。
この楽曲は、Aメロでコードが「A→C#→F#→D→G→A」と進行しますが、大胆かつユニークながら実にエレガントな進行です。
一般的には「A→C#m→F#m→B→E→A」と進行させるところでしょう。
不定調性論「Day Tripper」
もう1つ、「Day Tripper」を取り上げてみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=othSH7Bh6d0
参考:DAY TRIPPER(THE BEATLES)のコード譜
彼の楽曲は親しみやすいにもかかわらず、彼は、それまでの枠をはみ出す前例のない作曲をしました。
専門的には「不定調性論」というそうですが、プロよりむしろ一般のファンの方が素直に受け入れました。
だって、難しい理論なんか分からなくたって聴けば分かります。
伝統的な「E」からスタートして、これまた伝統的なブルースのコード進行をやるので「おや?今回はおとなしくやるのか」と思うと、やっぱり「F#7→A→G#7→C#→B7」とユニークな進行をやりました。
「予測不能」というのが彼の作品に対する最大の賛辞かもしれません。
ライタープロフィール
ビートルズの熱狂的ファン
和田晋司
大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。
色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。
ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。
ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ