ビートルズとボブディランとの深い関係とは?
まさか、フォークソングの神様、ボブ・ディランが2016年10月にノーベル文学賞を受賞するなんて。
若い方は、ご存じないかもしれませんが、彼は、1960年代を中心にフォークソングで体制を批判し、反戦平和を訴え、世界中の若者たちに絶大な影響を与えました。
参考:ノーベル文学賞を受賞したボブディランの自伝を読んでみた
しかも、彼とビートルズとはとても深い関係にあるんです。
今回は、彼のノーベル賞受賞に因んで、そのことについてお話しします。
ビートルズの才能に最も早く注目したアメリカ人アーティスト
ビートルズは、1963年にはイギリス国内で人気絶頂を迎えていました。
しかし、まだアメリカへの進出は果たしていませんでした。
ところが、ディランは、ビートルズの「抱きしめたい」を聴き「彼らが使ったコードはとてもユニークだし、誰もやったことがないことをやっている。さらにコーラスがそれを引き立てている」と早々とその才能に注目していました。
まだ、ビートルズの「ビ」の文字もアメリカのマスコミに大々的に取り上げられていない時点での話です。
やはり一流の人には何が一流かが分かるんですね。
ビートルズに多大な影響を与えた
初期のビートルズは、ラブソングがほとんどでした。
そもそもポップミュージックとはそういうものだったのです。
しかし、ディランがまずその殻(から)を破り、歌詞で政治体制や社会状況を批判し始めました。
ビートルズは、フランスのツアー中にディランの代表作である「風に吹かれて」が収録されているセカンドアルバム「フリーホイーリン」を聴き、それに強く影響され、自分を深く内省したり、社会状況を描いた内容の歌詞を書いたりするようになりました。
特に、ジョンレノンは、最も強くディランの影響を受け、ガラリと作風が変わりました。
ジョンが、ディランの影響を受けて書いた最初の作品は、恐らく「悲しみはぶっ飛ばせ」です。
これは恋愛を題材とはしているものの、失恋した青年のやり場のない悲しみを切々と歌ったものです。
自分自身を深く見つめなければ、こんな歌詞は書けません。
それまでの明るく陽気な歌詞から一転して悲観的な歌詞に変わりました。
ジョンもそれまでは売れるシングル曲を書いてきたが、もっと自分自身の感情に重点を置いた作品を書くようになったと語っています。
この延長線上に「ノーウェジアン・ウッド(ノルウェーの森)」という傑作が存在します。
もし、ディランが存在しなかったら、中期以降の「大人のビートルズ」は存在しなかったかもしれません。
ビートルズもボブ・ディランに影響を与えた
ビートルズが逆にディランに影響を与えたのも事実です。
それまでアコースティックギターを弾きながら、フォークを歌っていた彼が、ついにエレキギターを携えてロックを歌ったのです。
従来からのファンからはブーイングが起きましたが、一方では声援も上がりました。
彼は、ロックに傾倒して数々の作品を発表しましたが、その歌詞は、アレン・ギンズバーグらの文学者からも高く評価されました。
歌詞が文学的に評価されたのはこれが初めてであり、後のノーベル賞の受賞につながったのです。
ライタープロフィール
ビートルズの熱狂的ファン
和田晋司
大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。
色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。
ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。
ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ